掌蹠膿疱症とは
掌蹠膿疱症とは、手のひらや足の裏に、左右対称にうみ(膿疱)が繰り返しできる皮膚の病気です。膿疱とともに赤い斑点(紅斑)や鱗屑と呼ばれるカサカサしたフケのようなものがあらわれます。
掌蹠膿疱症の症状
まず透明な小水疱や黄色い小膿疱ができて、これが次第に茶色くにごり、かさぶたになります。かさぶたはやがてはがれおちますが、古い膿疱がなくなるとともに新しい膿疱が現れ、これらが繰り返されます。
- ・小水疱(みずぶくれ)、小膿疱(うみ)
- 1〜5mm程度の大きさの小水疱や小膿疱ができます。
- ・炎症
- 主に小水疱や小膿疱の周りに炎症反応がみられます。
- ・かゆみ
- 膿疱ができる部位にかゆみがみられる場合があります。
- ・爪の変形・にごり
- 爪の変形やにごりがみられる場合があります。
原因
扁桃炎、虫歯、副鼻腔炎、中耳炎などの病巣感染や、歯科金属などの金属アレルギーが関係していることもありますが、はっきりとした原因は現在のところわかっていません。
予後
患者さんによって異なりますが、多くは平均3~7年で軽快するといわれています。
当院の治療方法
掌蹠膿庖症の治療は、まずは塗り薬による治療が基本になります。
- ・ステロイド外用剤
- 外用剤の第1選択となります。皮膚の炎症を抑えることによりある程度の効果が期待できますが、長期使用による副作用にも注意が必要です。
- ・ビタミンD3外用薬
- 皮膚角化症治療薬。ステロイドに比べると効果はマイルドですが、長期使用による副作用はほとんどないため、ステロイドと併用して使用することが多いです。
同時に体のどこかに感染病巣がないかのチェックを行います。明らかな扁桃腺炎がある場合は、扁桃腺を摘出することで皮膚の症状がよくなることがあります。また、虫歯や中耳炎、副鼻腔炎などがある場合は、それらの治療を行うことで治癒することもあります。
さらに、金属アレルギーが疑われる患者さんでは、金属パッチテストを行います。歯科金属のアレルギーが認められる場合では、積極的に歯科金属を除去することにより皮膚の症状が治癒することもあります。
しかしながら、大多数の患者さんでは原因不明のことが多く、そのような治療のみで治癒する患者さんはごく一部です。
塗り薬だけで症状の改善がみられない場合は、紫外線治療を併用します。
- ・PUVA療法
- 数十年以上前から行われている方法です。ソラレンという光を吸収するお薬を患部に塗ってUVAを照射します。
- ・ナローバンドUVB療法
- 日本ではPUVA療法に代わる紫外線療法として始まりました。UVB中の311nmの波長の紫外線だけを照射する治療です。
- ・エキシマライト
- ナローバンドUVBがさらに進化したのがエキシマライトです。エキシマライトはUVB中の308nmの波長の紫外線を、ナローバンドUVBよりも100倍以上の強さで照射することできます。
いずれの治療も1回だけでは効果が期待できませんので、週1回から2回のペースで効果がみられるまで繰り返し照射していくことが必要です。