C型慢性肝炎/C型肝硬変の抗ウィルス治療について(2017年春)

●注意

当院ではC型慢性肝炎、C型肝硬変の抗ウィルス治療導入は行っておりません。
肝臓専門病院への紹介や治療終了後の経過観察はさせていただいております。
勤務医(1990年―2010年頃)であったころ、C型慢性肝炎の抗ウィルス療法はIFN(インターフェロン)を中心とした治療法しかなく、有効性が低く副作用の発現頻度も高いため治療に大変苦心してきました。
2014年7月初めてのIFNによらない抗ウィルス薬(DAA*)としてダクルインザ+スンベプラが使用できるようになり、C型肝炎の治療は新時代に入ったといえます。
当院でも、DAA治療により楽にウィルスが排除されている症例を経験しております。
いきなり肝臓専門病院に行かれるのが心配な方は、是非一度当院にご相談に来られてはと思います。
治療方法についてゆっくりと説明させていただきます。
*DAA:Direct Acting Antivirals(直接作用型抗ウィルス薬)

C型肝炎ウィルスの型について

C型肝炎ウィルスは4つの型(1a、1b、2a、2b)の4つに分類されます。最も多いのは1b型で70%、2a型が20%、2b型が10%程度で1a型はほとんど見られません。1b型は日本人で最も多い型ですが、インターフェロン治療が効きにくく、再発や再燃が多くありました。

―C型肝炎の治療法(2017年3月 改訂ガイドライン)―

●C型慢性肝炎

1)ゲノタイプ1型

初回治療・再治療:
a) ハーボニー 12週
b) ヴイキラックス 12週
c) エレルサ+グラジナ 12週(新*)
d) ジメンシー 12週(新*)
e) ダクルインザ+スンベプラ 24週
f) シメプレビル+ペグ-IFN+リバビリン 12週
注意:
初回治療ではa), b), c), d)がウィルスの多寡を問わず第一選択。
再治療もa), b), c), d)が第一選択。
Y93/L31変異のない症例はe)も選択肢となる。
IL28B遺伝子多型のmajor alleleを有する症例ではf)が推奨される。
上記治療のうち、a), b), c), d),e)は内服薬。
f)は注射薬を含む。
⋆:c), d)は2016年秋-冬に承認された新薬です。

2)ゲノタイプ2型

1)初回治療:
a)ソバルディ+リバビリン 12週
b)ヴィキラックス 12週 (新*)
c)ペグ-IFN+リバビリン 24週
ペグ-IFN単独 24週
注意:
第一選択はa)である。
2型(2a)であればb)も治療選択肢。
高ウィルス量ではc)、低ウィルス量ではd)も選択可能。
a), b)は内服薬。
c), d)は注射薬を含む。
*:b)2016年秋に2型(2a)にも承認された。
2)再治療:
a)ソバルディ+リバビリン 12週
b)ヴィキラックス 12週
c)テラビック+ペグ-IFN+リバビリン 12週
注意:
第一選択はa)である。
ゲノタイプが2aであればb)も選択肢となりうる。
再燃例ではc)も使用可能。

●C型肝硬変

肝予備能が保たれ、黄疸、腹水、肝性脳症、胃・食道静脈瘤などの肝不全症状がない状態を代償性肝硬変と呼びます。代償性肝硬変に対して抗ウィルス療法を行うことは認められており、この治療で発癌や肝不全の予防になることが期待されています。

1)ゲノタイプ1型

a) ハーボニー 12週
b) ヴイキラックス 12週
c) エレルサ+グラジナ 12週(新*)
d) ジメンシー 12週(新*)
e) ダクルインザ+スンベプラ 24週
f) ペグ-IFN+リバビリン 48週
g) ペグ-IFN単独 48週
注意:
初回治療、既治療例ともにa), b), c), d)が第一選択。
Y93/L31変異のない症例はe)も選択肢となる。
a),b),c),d),e)が何らかの理由でできない場合、f),g)も選択肢となる。

2)ゲノタイプ2型

a)ソバルディ+リバビリン 12週
b)ペグ-IFN+リバビリン 48週
c)ペグ-IFN単独 48週
注意:
a)が基本治療である。
a)が何らかの理由でできない場合、c),d)も選択肢となる。

平成28年12月承認 C型肝炎(1型)に新しい治療薬(ジメンシー)が追加されました。

●ジメンシーの臨床成績

治療成功率

慢性肝炎
95.9%(SVR12*達成率)SVR12*:投与終了12週後のウィルス持続陰性化率
代償性肝硬変患者
95.7%(SVR12*達成率)
副作用
AST、ALTの上昇、好酸球増加、発熱など
対象
セログループ(ジェノタイプ)1型のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変
薬剤
ジメンシー(ダクラタスビル、アスナプレビル、クラブビル配合剤)
投与期間
12週
併用禁忌
イトリゾール、ジフルカン、プロジフ、ブイフェンド、フロリード、クラリス、エリスロシン、ヘルベッサー、ワソラン、テラビック、リファジン、アレビアチンなど

平成28年9月承認 C型肝炎(1型)に新しい治療薬(エレルサ+グラジナ)が追加されました。

●エレルサ+グラジナの臨床成績

治療成功率

慢性肝炎
96.5%(SVR12*達成率)SVR12*:投与終了12週後のウィルス持続陰性化率
代償性肝硬変患者
97.1%(SVR12*達成率)
副作用
ALT増加、下痢、倦怠感など
対象
セログループ(ジェノタイプ)1型のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変
薬剤
エレルサ(エルバスビル)+グラジナ(グラゾプレビル)
投与期間
12週
併用禁忌
リファジン、テグレトール、アレビアチン、フェノバール、シクロスポリンなど

C型肝炎(1型)に新しい治療薬(ヴィキラックス)が発売されました。

●ヴィキラックスの臨床成績

治療成功率
94.6%(SVR12*達成率)SVR12*:投与終了12週後のウィルス持続陰性化率
副作用
末梢性浮腫(4.1%)、浮腫(1.4%)、肝機能障害(0.3%)、胃腸障害、皮膚障害など

●ヴィキラックス治療の実際

対象
セログループ(ジェノタイプ)1型のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変
薬剤
ヴィキラックス(オムビタスビル、パリタプレビル、リトナビル配合剤)
投与期間
12週間
併用禁忌
カルブロック、ハルシオン、ドルミカム、ロナセン、リポバス、リピトール、テグレトール、アレビアチン、フェノバール、リファジン、セイヨウオトギリソウなど

**Y93耐性変異と治療成功率について:ヴィキラックス投与前にY93耐性変異が検出されなかった患者の治療成功率は99%に対し、Y93耐性変異が検出された患者:では83%と治療成功率の低下を認めた。

平成27年9月1日 C型肝炎の新しい治療薬(ハーボニー)が発売されました。

●ハーボニーの臨床成績

治療成功率
100%(SVR12*達成率)SVR12*: 投与終了12週後のウィルス持続陰性化率
副作用
掻痒症(3.2%)、悪心および口内炎(各2.5%)、便秘(1.9%)、腹部不快感(1.9%)、頭痛(1.9%)など

●ハーボニー治療の実際

対象
セログループ(ジェノタイプ)1型のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変
薬剤
ハーボニー(レジパスビル+ソホスブビル配合剤)
投与期間
12週
禁忌
重度の腎機能障害または透析を必要とする腎不全の方**
併用禁忌
リファンピシン、カルマバゼピン、フェニトイン、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品

**重度の腎機能障害(eGFR<30ml/min./1.73㎡)、または透析を必要とする腎不全患者にハーボニー、ソバルディの投与は禁忌である。

C型慢性肝炎(2型)に有効な新薬(ソバルディ)が発売されました。

C型慢性肝炎(2型)に有効な内服薬(ソバルディ)が平成27年6月10日より使用可能となりました。ソバルディは2型のC型慢性肝炎(代償性肝硬変を含む)に対して、経口剤のみによる12週間治療を可能にします。リバビリン*との併用により高い治療成功率を示しました。(*リバビリン;作用機序は不明であるが、インターフェロンなどと併用することにより抗ウィルス効果を発揮する内服薬。)

ソバルディ+リバビリン治療の臨床成績

治療成功率
97.1%(従来の治療法:77.6%)
従来の治療法;ペグインターフェロン/リバビリン併用療法
副作用
貧血(11.4%)
頭痛(5.0%)、倦怠感(4.3%)、悪心(4.3%)、掻痒症(4.3%)など

ソバルディ+リバビリン治療の実際

対象
セログループ(ジェノタイプ)2型のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変
薬剤
ソバルディ錠、リバビリン錠
投与期間
12週
禁忌
妊婦、授乳婦、同系薬剤過敏症の既往、重度の心疾患・腎障害・肝障害・精神疾患、自己免疫性肝炎、異常ヘモグロビン症
併用禁忌
リファンピシン、カルマバゼピン、フェニトイン、セイオウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
併用注意
リファブチン、フェノバルビタール、抗HIV薬、アザチオプリン

注意1  飲み忘れにより、期待される効果が得られない場合あり。飲み忘れに注意。

ダクルインザ+スンベプラ治療の臨床成績

治療成功率
89.1% (従来の治療法:62.2%)
従来の治療法;インターフェロン/リバビリン+テラプレビル併用療法
副作用
鼻咽頭炎、頭痛、発熱、下痢など軽症なもの:10~36%
肝機能障害(AST、 ALT上昇):16%
重篤なもの5%(死亡:0%、投与中止:5%)

ダクルインザ+スンベプラ治療の実際

対象
セログループ(ジェノタイプ)1型のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変
薬剤
ダクルインザ錠、スンベプラカプセル 体内のHCVに直接作用し、減少させる薬
投与期間
24週間
禁忌
中等度以上の肝機能障害、妊婦(妊娠可能性のある婦人)、授乳中の方 以下の薬を内服中の方(リファンピシン、リファブチン、フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、デキサベタゾン全身投与、セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品、アゾール系抗真菌剤(経口または注射剤)、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ジルチアゼム、ベラパミル塩酸塩、コビシスタットを含有する製剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、モダフィニル、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(リルピビリン塩酸塩を除く)、ボセンタン水和物、シクロスポリン、フレカイニド、プロパフェノン)
注意1
飲み忘れにより、期待される効果が得られない場合あり。飲み忘れに注意。
注意2
肝機能障害など副作用が現れることあり。定期的検査を要す。

※ 臨床成績は「インターフェロンを含む治療法に適格の未治療患者及び前治療再燃患者を対象とした国内第3相試験(AI 447031試験)」より引用。